いつもとは違う休日

3/5
前へ
/209ページ
次へ
「考えとく」  親戚、というだけで付き合っているわけではないから、断られるのも当然のことだ。とはいえ休みのたびに毎回誘って、毎回断られる。毎回地味に傷ついている。  それを悟らせないように明るくつとめていたが、このときばかりはつい、弱弱しい声を出した。 「そんなに、忙しい? お仕事」  瑠璃は二重の大きな目を皐月に向ける。しんみりとした沈黙が続く中、瑠璃は首を振った。 「そうじゃないの。大学で出されるレポートが多くて」 「……そうだよね! 学部によっては課題たくさん出るもんね!」  瑠璃を困らせることも、重たい男だと思われることも嫌だった。  軽く息をついて、話を変える。 「……あのね。俺、今日、父親に呼び出されてるんだ」 「和也に? どうして?」  目をぱちくりとさせる瑠璃に、皐月は首を振る。 「わかんない。瑠璃ちゃんもわからないってことは、瑠璃ちゃんとは関係ないことなんだね」 「そうね。心当たりはないし」  それまで素っ気なかった瑠璃は、皐月が父親の話題を出したとたん口数が増える。トーストを食べながら皐月を見すえ、口元に手を当てた。 「じゃあ、実家に帰るの?」 「ううん。礼拝堂で待ち合わせしてる」  再び、瑠璃は大きい目をぱちくりとさせた。 「どうして? 冠婚葬祭?」
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加