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瑠璃の力強い二重の目が、皐月に向いた。困ったように眉尻を下げ、頬に手を添える。
「……別に、大丈夫。毎回、私のためにいろいろ買わなくても」
「なんで? 遠慮しなくていいのに。俺がしたくてやってることなんだから」
瑠璃の顔に、苦々しい笑みが浮かんだ。
「いや、その……皐月が毎回甘いもの買ってくるせいで体重が……。これ以上太るのも困るし」
確かに最近、瑠璃の二の腕と太ももがむちむちしている。そんなことを言えば一気に不機嫌になるので絶対に言わない。
皐月は満面の笑みで返す。
「じゃあはんぶんこしよ!」
皐月にとっては、瑠璃が太ろうが痩せようがどうでもいい。太ってもかわいいと思える自信しかない。
瑠璃に恋焦がれる皐月は、瑠璃が同じ家で過ごし、自分のことを見てくれさえすれば、それで十分だった。
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