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落ち着いてうなずく事務員に、シスターはさらに続ける。
「いいですか? 最初から排除するような姿勢ではいけません。私たちは公平に神が守ってくださる、同じ人間なのです。男女ともに助け合う関係でいるべきなのです。ののしりあうのではなく……」
和也が鼻を鳴らした。切れ長の目をゆるやかに細め、口角をきゅっとあげる。
血まみれであることを忘れるほどに。いや、血まみれだからこそ神々しい笑みだった。学生たちが思わず立ち止まり、見とれるくらいには。
「神様も聖職者も大変だね。信者がここまでば……頭のねじが外れてると」
「……はあ? 」
事務員のゆがんだ顔が、和也に向いた。顔に青筋が浮かぶ彼女を気にすることなく、和也は笑う。わざとらしく大きな声で続けた。
「神様から一体何を学んでるの? 服装を統一すること? 礼拝をすべきってこと? 神に背く人間は許されない存在だってこと? それなのに神様は男女とも公平に守ってくださる? ……ほんと都合がいい存在だね、神様って」
「なんてことを……! 」
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