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諦められない
そのあとは浩太に何て言ったのか、家までどうやって帰ったのかも覚えていない。次に記憶にあるのは、ベッドに突っ伏して泣いている自分の姿だった。
どうして、浩太。あたしがあなたにいちばん近い女の子なのに。あたし、こんなにあなたのことが好きなのに。
だけど――。
『ごめん』
『幼馴染としか見れない』
はっきりとそう言われた。あたしは浩太に振られたんだ。
『ありがとな、絢音』
優しく謝る浩太の声が胸を締め付けるようにぐるぐると回る。ぐるぐる、ぐるぐると強く締め付けられて、あたしは逃げることもできずにただベッドの中で丸まって泣いていた。
翌朝、どんよりと目が覚めたあたしは泣きすぎて重い頭を押さえながら考える。
浩太が好き。まだこの気持ちを消すなんてできない。だからごめんね、浩太。あたしまだまだ、諦められないよ。
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