お話練習帳

「幻のカリッとシュー」1

数年前に我が家の近くにオープンした巨大ショッピングモール。
巨大なだけあって、珍しいものから定番品までを網羅する品揃えに加え、期間限定のイベントも目白押し。
駐車場も広々、居心地もよくこのモールに、
私は、オープン当初から、週に二、三回は必ず通うというくらいのファンである。

数年前のとある日、楽譜を買いに行った帰りに、1階のケーキ屋さんでどうしても気になった、桃を丸ごと1個使ったパイを衝動買いした。
これぞ、買い物の相乗効果と言わんばかりのモールの思惑通りの衝動買いだった。

私は甘くみずみずしい桃が大好物なのだけれど、スーパーで買う桃は、甘さのバラツキがあるのかハズレを引いてしまうこともある。
しかし、パイに使われていた桃は、文句なしに甘く、フレッシュ。
サクサクで、それほどしつこくないパイ生地に、和三盆を使っているというクリーム。
自分好みのテイストだった。

あわせて買った家族の分も美味しかったらしく、その後も私はケーキ屋さんに通うことになった。
甘い桃を使ったスイーツはパイだけじゃなく、ジュレやタルトもあり、飽きることはなかったし、毎回ハズレなく桃は甘かった。