思いも掛けない告白

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私はかなり戸惑っていた。私は池田さんの好意に全く気づいていなかったから。彼からそんな気持ちを持たれてるとは全く気づかないでいて、ただただ困惑していたと云うのが適切かも知れない。 「池田さん、そんな風に言って頂いて有難うございます。ただ今直ぐお返事は出来ません。少し時間を下さいますか?」 即答は断り、少し考えさせてと保留させて貰った。何より即答するのが私自身怖かったのだから。 「叶さん返事は急がないから、良く考えてから返事を下さい」 池田さんは、優しく微笑んでそう言った。穏やかな人だと私にも判る。それでも即決するには勇気が要った。今回保留させて貰ったのは、相手を良く知らなかったから。同じ会社じゃないだけに相手の人柄が分かりにくいのが不安でしかなかった。 ただ、男性と交際した事がないんだもの、どうしても慎重になっても致し方ないと思った。 私の割り勘の申し出を「自分が誘ったのだから」と頑なに断り、池田さんがご馳走してくれた。 「池田さん、ご馳走様でした。お料理とっても美味しかったです」 その日は食事だけで終わり、池田さんとお店の前で別れた。
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