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これは全ての序章にすぎませんわ
「口が悪すぎて将来の夫を敬えないお前とは婚約破棄がしたい」
「喜んでお受け致します」
予め言っておきますが、これは断罪とかそんなものではありません。
お互い合意の上でございます。
·······まぁ、世の中上手くいかないものです。
当然、両者の親がそんな事を許すはずもなく、ズルズルと仮面夫婦ならず仮面婚約者と言う形で数年が経ちました。
私、悪役令嬢を目指しておりますレラジュと申します。婚約者は国の第二殿下のソエル王子。決して仲が悪いわけではありません。
「殿下」
「何だ?」
ある日の昼下がり。私はソエル王子とお茶をしておりました。
「さっさと断罪イベントに必要なヒロイン捕獲して来い」
この世界で王族に命令できるのは私だけでしょう。
この会話を何千回としておりますので、ここの侍女の方々も護衛騎士の方々も華麗にスルースキルを習得しております。
「探してんだが、パッとしない者達ばかりなんだ」
「黒魔術で異世界から拉致るなりなんなりしてくださいません?いっそBLのルートにしてもよろしいので」
「お前、何でもありだな····」
えぇ、お前の運命の相手を見つけるまで永遠に言い続けますし、何でもしてやりますわ。
「そんな事言うならお前が探してくればいい」
「殿下。お忘れですか?」
殿下の為にヒロイン召喚をしようとしたら皆から全力で阻止された事がありました。
「異界の閻魔大王を召喚しようとしていたからだろう?」
「赤顔の貫禄ある素敵なヒロインだと思いますわ」
どちらかと言えば殿下がヒロインになれたかもしれないでしょう。
「その前は魔王召喚しようとしていたのは誰だ?」
「私ですわ」
「何で召喚する者がラスボスキャラばかりなんだよ!?」
城にあった殿下の【魔法使いと賢者の石】と言う造作漫画に描かれていた魔法陣と主人公の「エクスペ〇ア」と言う詠唱を捻って「アッ〇ルギャ〇クシーアク〇ス」に言い変えたら召喚出来ました。
「エクス〇リアどこ行った?!」
己の描いた漫画については何も言わないのですね。
「幼児が描いた落書きかと思いましたわ」
「感想は求めてない!」
そんなアホな落書き描く暇があるなら都合のいいヒロイン枠の女拉致って来い。この際犬でも猫でもゴリラでもいいからさっさと連れてきて両者の親説得させて婚約破棄にこぎつけて下さいまし。
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