聖女様。こんな殿下と一緒にならずに是非とも私と婚約致しませんか?

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聖女様。こんな殿下と一緒にならずに是非とも私と婚約致しませんか?

 聖女様のお名前は佐藤愛花(さとうあいか)様と仰られました。 「まぁ、お名前通り花のように愛らしい方ですわ」  と、言うわけで私と婚約致しませんか? 「なんでそうなる!?」  ツッコミの才能が乏しい殿下でもツッコミが鋭くなる事があるのですね。    女と言う生き物は常に愛らしいものを撫でくりまわしたくなる習性を持っておられるのです。 「殿下の元で過ごされても蕾の花は開花せずに萎み枯れていくだけですわ」 「お前の元で過ごせば食虫植物に早変わりするわ!」  つまり、美しい花には棘があると言う意味に似せて言っておられるのですね。  棘どころか猛毒を仕込みましょう。世の殿方は野獣です。危険です。 「お前が一番の危険人物!」  ラスボス召喚なんてお手の物ですわ。 「ですから殿下には魔王と御婚約すれば万事解決ではありませんか」  街一つ消えるフラグは立ちますけれど。  ちょっと魔法陣描いて呪文を詠唱すればフェンリルだろうがヤマタノオロチだろうが召喚致します。 「凄い!そんなものを召喚できるのですか?」 「聖女様もやってみませんこと?以外と簡単ですわよ」 「何とんでもない事やらせようとしてんだ!?」  と、言っても聖女様の力がどのくらいなのか気になりません?  ちなみにこの世界は魔法皆無の世界です。  なぜ故召喚できるのかと言う質問は野暮ですわ。  だってファンタジーですもの。  全てはノリでできております。 「世のファンタジー作家に土下座して謝れ」  きっと全てのファンタジーファンの方々もノリさえあればどうとでもできるとお考えですわ。 「レラジュ嬢····それはファンタジーと言うよりもギャグティストではないのだろうか?」  さすが陛下。卑猥なタイトルの漫画を描いただけの事はありますわ。  王妃様がゴミ虫を見るような目で陛下を見ているのはきっと愛情の裏返しなのでしょう。  ここは生暖かい目で見守ると致しましょう。 「とりあえず····婚約破棄のサインをさっさと書きましょう」  そう言って私がペンを持ち婚約破棄届けに名前を書こうとしたところで 「ま·····待ってください!!」  愛花様が待ったをかけました。
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