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「────真守っ!」
見間違うはずのない、大好きな背中に叫んだ。
仮面舞踏会の夜、あれだけ探しても見つけれなかったその背中は、まるで一番星のように「ここにいるよ」と示してくれた。
弾けるように振り返ったその人は、目がこぼれ落ちそうなほどに見開いて私を見つめた。
「真、佳……」
ゆっくりとそばに歩み寄る。
泣きたくなる気持ちをぐっと堪えて、笑った。
「教えてくれても良かったのに」
すると真守はバツが悪そうに視線を逸らして、「ごめん」と呟いた。
「もう、行っちゃうの……?」
「うん。もう少しで、搭乗時刻の締切だから」
そっか、と目を伏せた。
沈黙が流れた。
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