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「おはよー、あ、美和、髪切った?似合ってる」 「ありがとー!って、そんなお世辞で許されると思うなよ〜!今日一緒に行こうって言ったのはどこのどいつだ!」 「あはは〜お世辞じゃないんだけどな〜」 明るく元気な声でハキハキと。 これがあたし!This is me!! 外ではいわゆる陽キャとして過ごしている。こっちの方が楽だし。 その『キャラ』に合うように、『あたし』の普通を壊さないように。 こんなわたしでも、神経すり減らして生きている。信じてもらえないだろうから誰にも言わないけれど。そう見せたいのだから、言う必要も無い、というのもある。 9時1分前。授業開始前の予鈴がなった。1つの机に集まっていた生徒たちが、それぞれの机へと散っていく。わたしは、何故かこの光景が好きだ。なんか、また一から始まるんだな〜って感じで。 本鈴がなり、社会の60すぎの先生が、号令をかけるよう指示する。 「起立、礼…着席」 はぁ…やっぱうちのクラスのいいんちょー、覇気がないな!あたしだったら、毎回元気になれる号令にするのに! …と、思ってしまう。わたしは、『あたし』というキャラは創っているが、『あたし』も『わたし』の一部なのだ。そう考えられるのだから、多少ましなキャラを創ってる系の人間だと思うよ!たぶん。 先生が出席簿をつけている間、あたしは隣の子とこそこそおしゃべりだ。 「……あれ、羽島さん、今日休み?」 「え?……ああ、ほんとだ。先生気づいてないね。……せんせー、羽島さんも今日多分休みでーす」 右手を元気に上にあげ、先生に報告。先生は羽島さんの欄に『欠』と書き込んだ様だった。 「あ、今日羽島さん遅れて来るって夏海先生が言ってました。」 「えっ、今日羽島さん来る時に見たよ」 「私、運動靴に履き替えてるとこ見た」 ん?なんだ、そのバラバラな目撃情報は。 先生は、後でほかの先生に羽島さんのことは聞くと言い、授業を始めた。 うーん、ちょっと気になるなぁ。 最近、楽しいこともあんまり無かったし、調べてみてもいいかもしれない。もし、羽島さんに誰にも言えない特別な事情があるのだとしたら、わたしが周りに話さなかったらいい。わたしは、口は硬い方だ。 人を自分の暇つぶしに利用しようとしている事に多少の罪悪感は覚えつつも、わたしはちょっぴりわくわくしていた。
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