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地球と僕
僕らはアイスを食べ終わった後、遊具に駆け寄った。それからシーソーやブランコを楽しんだ後、鬼ごっこやかけっこをして遊んだ。いつもは汚しても良い服じゃないと外で遊びたくないけど……お気に入りの服だけどいいか!走り回った時に立ち上る砂や滑って転んだ時についた泥とか、動き回って出た汗だとか、今は気にしない。高学年になってからこんなに走り回ったことはないな。全力をだせて気持ちいい!
僕らは思いっきり走り回った。小さな子たちに混ざってワーワーキャーキャー遊び回った。
空が少しずつオレンジ色に染まっていく。僕らは公園の端にあるちょっとした芝生の上に並んで腰をおろす。他の子たちはもう帰っていて、今この公園には僕ら2人しかいない。
「あー楽しかった!やっぱり動くのは楽しいね!」
地球は思いっきり楽しそうな笑顔で言った。僕もつられて笑顔になる。
「そろそろ僕帰らないと。僕たちまた会える?」
僕がそういうと地球はちょっと寂しそうな顔をした。
「うーん、どうだろう。僕が次に僕にこようって思うタイミングがいつになるか分からないんだ。20年後かもしれないし、1万年後かもしれない」
「そんな〜。僕もっと君と遊びたい」
僕はがっかりした。
「君も知っての通り僕は温暖化してる。年々調子が悪くなっていってるんだ。だから苦しい時とかもあって、そういう時はぼんやり過ごすんだけど、気づいたら10年経ってた!なんてこともあるのさ。僕にこようって思う気分もあるし」
「そうか……だからタイミングが分からないんだね」
地球は弱々しく笑っている。
「次ここにきた時、もしかしたら君はもう大人かもね。何の仕事をしてるのかな〜」
「僕は……」
ちょっと恥ずかしいけど……彼を元気づけたい。
「地球ジョークの時に言ったけど、僕は地球が心配なんだ。本気で温暖化をどうにかしたいと思ってる」
地球はちょっと驚いてこちらをみる。
「歴史で人類が何をしてきたか学んで、地球温暖化になるようなことはしない。逆に環境に良いものがあれば参考にする。それから理科を学んで温暖化対策を考えたい。僕は将来そういう地球のためになる仕事がしたいんだ」
僕はにこっと地球に笑いかけた。
「そうなんだ、嬉しいよ」
地球は嬉しそうに笑った。
「まだ誰にも言ったことないんだ。本当に自分にできるか不安で。まさか地球本人に最初に言うことになるとはね。でも言って良かった!君をみてたら、やらなきゃ、助けたいって思ったんだ」
「君たちの将来のためににもなるよ。ありがとね。君が僕を救ってくれるの待ってるよ」
「だからプレッシャーやめてって」
僕らは顔を見合わせて大笑いした。
「さて君は家に帰る時間だね。僕も君が夜出歩く不良小学生だと思われないように、宇宙に帰るよ」
「……じゃあまた会えたらいいね。今日は楽しかったよ。ありがとう!」
「こちらこそ楽しかったよ、ありがと!またね!」
地球は立ち上がるとすぅーっと消えていった。
「……僕も帰ろう」
今日の僕も気分がいい。友達と別れて帰り道をのんびり歩く。昨日地球と思いっきり走り回ったからか気分は爽快だ!地球と遊べないのはちょっと寂しいけど、今日も公園で遊んで帰ろうかな。
「あ、いたいた。おーい!そこの君!」
ん?なんだか後ろから美声がする。振り返ると、切ったばかりの髪をなびかせ、オシャレな服が似合う美少年がこちらに向かってかけてくる……って僕じゃないか!これは……きっとまた地球だ。昨日今日でまた来たのか!
「へへ、地球のやつが君と遊んで楽しかったっていうから俺も来ちまった!俺と遊ぼうぜ!」
なんか違う……それに地球のやつって……
「地球じゃ、ない?」
僕が戸惑っていると彼はニッと歯を見せて笑った。
「俺は太陽だ!よろしくな!」
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