オシャレな僕

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オシャレな僕

 友達と別れた帰り道、僕はとてもいい気分だった。空は雲1つないキレイな澄み切った青空!5月の風がそよそよと優しくふいていて気持ちがいい。  僕は今日着ているお気に入りの緑の長袖シャツの裾を引っ張って、もう一度眺める。うん、やっぱりいい色だ。薄いエメラルドグリーンの色。僕の大好きな色。5月の鮮やかな緑色の葉っぱに混ざってちょっと目立つこの感じ!たまらない……あと僕にぴったりサイズで着心地もよい。胸元にアクセントでついてる青い星もとても気に入っていた。クラスの女子からも評判が良かった。いつも僕はオシャレだけど今日の服もとてもステキ、だって!ふふふ!  僕はるんるんとスキップをする。ランドセルがこぎみよい音をたてて背中で揺れる。  小さな空き地の前を通りかかる。と、ふと視線を向けた先に同い年ぐらいの少年が立っているのがみえた。木を眺めているようだ。なんだかふしぎな感じがして、僕は思わず立ち止まる。あれは……緑の長袖シャツ、僕と同じ色のズボン。そして何より後姿からでも分かる隠しきれない魅力的なオーラ……あれは僕じゃないか!  間違いない!だってこのパーカーは服飾業界で働く母親が趣味で作ってくれた、世界に1つしかないパーカーだもの!それからあのズボン!これは有名なデザイナーが手がけたもので数少ないもの!母親が出張先での仕事で関わったその有名デザイナーからお世話になったお礼にどうぞって特別にもらったって言ってた!母親しかもらってないって聞いたぞ。他にもらった人がいるかは分からないけど、こんな身近に同じズボンを持つ人がいるとはとても思えない。  そして!何より僕の目が惹きつけられるあの魅力!切ったばかりの髪が風になびいていて、とてもすてき……  じゃなくて!これは一体どういうことだ?僕は双子ではないし兄弟すらいない。そうだ!世界には自分とそっくりな人間が3人いると聞いたことあるぞ!きっとそれだ!確か3人全員と会ってしまうと良くないんだっけ……  その時少年がこちらを振り向いた。やはり顔は僕と全く同じ。彼は一瞬驚いた顔をした後、にこっと笑ってこちらに駆けてきた。 「やぁ、こんなことは初めてだ!まさか本人に会うなんて!」  彼は僕の前で立ちどまって話しかけてきた。僕の顔を覗き込むようにして話している。ほ、本人?僕のファンか何かなのか?だから僕と同じ格好を?顔まで似せて?そりゃ僕はクラスでは人気があるしファンがいてもおかしくはない。でもここまでそっくりにしてこられると若干ひく… 「あーびっくりさせちゃった、ごめんね!自己紹介するね」  彼は少し後に下がって謝った。そして驚いて何も言えない僕を前ににこにこと話しかけてくる。 「初めまして!僕は地球だよ!」
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