桜と結びついた恋

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 高校三年の初夏。大学のオープンキャンパスに参加した。バドミントンサークルが賑やかで楽しそうな事と優しそうな教授が多い事に惹かれた。  オープンキャンパスを企画する学生会の中に真澄がいて息を呑んだ。まさかここにいたなんて。  この大学にすると決意してぶれずに受験勉強を続けた。  三月の初めの合格発表。インターネットで見てもよいのだが隆太は電車に乗って大学まで足を運び自分の目で見る事にした。そわそわ落ち着かず、あと何駅、とじれったく数えてようやく大学に辿り着いた。  合格だ。  嬉しくてしばらく掲示板の前に立ち、念のため間違いじゃないか確認しようと鞄の中の受験票を出し、再び照らし合わせた。やはり合格だ。  突風で飛んだ受験票を追いかけるとキャンパスの桜の蕾が膨らんでいる事に気づいた。  ずき、と胸が痛くなった。  またしても思い出す。夏から冬まではそれなりに平気だった。素敵な先輩の思い出で済ませる事ができた。でも桜が咲くともう駄目だ。痛い。  同じ大学にいたって会えるか分からない。合格者を載せる掲示板がこれ程大きいのだ。四年間会えなくてもおかしくない。  もしかしたら馬鹿な事をしたのかもしれない。全く違う所に行った方が良かったかもしれない。  どうして今更気がつく。土が付いた受験票が悲しくなる。 「あれ?」 隆太は驚いて声が出せず動く事もできずにいた。 「あなた……ここの大学なの?」 真澄だ。  あと少しで咲き誇る桜の下にいる。
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