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ジョージは肝心のエミリア嬢の船に抜かれてちゃ、勝てないと思ったが、敢えて口には出さずに「そうだな」とだけ返事した。
そしてそんなやる気満々のシッコから顔をそらす意味合いでジョージは顔を左右に向けた。
コックピットの裏には座席が二つあった。どちらも空席だった。
ジョージは何か忘れているような気がした。一体それが何かはすぐに思いつかなかった。
「俺たち三人でエミリアのキスを頂きだ!」
そうシッコは大声を出した。
「三人?」
何気なくジョージはつぶやいた。今この船に乗っているのは、コックピットにジョージ自身と、隣の席に座っているシッコの二人。そして二席ある後部座席は両方空いているのだ。肝心の三人目は一体どこに……。
(続く)
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