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 桜が嫌いだ。  美しいなりをしていて、それでいて儚げで。  咲き始めたと思ったらあっという間に満開になって、皆が群がり高嶺の花。  一人でゆっくり見ることすら叶わない。  手を伸ばすも遠のいて、抱きしめても(かいな)からすり抜けるお前みたいで。  散った花びらが水面に浮かんで所在なさげに揺らめく。あの花びらたちは何処へ行くのだろう。  大切な人も桜のように散っていった。  花びらは俺の手に舞ってこなかった。  桜を見ると同じ名前を持つお前を思い出す。  今日も、どこかで桜の花びらが散ってゆく。  あれから、何度目の桜だろうか。
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