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次の瞬間、化け物とルーエの間の地面に、黒色で書かれた魔方陣らしき物が浮かび、それが急に光り出したかと思うとセイリーンの姿が現れた。
何故か、この時ルーエはこの自分の目の前に突然現れた彼の方が本物であると直感した。そのセイリーンは目の前の化け物に少しも怯んでいる様子を見せなかった。
彼は後ろにいる彼女に対して、
「こ、こんな奴に屋敷の敷地内に侵入されたなんて!こ、怖い思いをさせてごめんね。すぐに片付けるから!」
と言いながら、手を振って何本も黒い剣のような物を空中に出現させた。
化け物はそれを警戒したのか、一歩後退りした。
そして、セイリーンはそれを嘲笑うかのように「逃がさないよ。」と冷たい声で言った。すると、一気に相手は逃げ出そうとしたが、彼の出現させた黒い剣が体中に突き刺さる方が早かった。
剣が突き刺さった瞬間、化け物はギギギギィ、キィィーと聞くに堪えない叫び声を上げたが徐々に動かなくなった。ルーエはそんな光景を見て、強い吐き気を感じて、咄嗟に手で口元を覆った。
そして、セイリーンが振り向いて、「ああ、もう大丈夫だから、」と声を掛けられた瞬間、彼女は緊張の糸が解けたのか、意識を失ってその場で倒れてしまった。
そうして、気絶をしたルーエが意識を取り戻したのは、すっかり夜になった頃だったのである。
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