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「ご、ごめん。笑ったりして。そもそも私がセイリーンが話してくれようとしたのを質問して腰を折ったのに。」
ルーエは二人が笑い終わって落ち着くと、我に返って慌てて謝った。
そんな彼女にセイリーンは気にするなと言うように手を振ってから口を開いた。
「いや、あんな事を言われたら気になるのは当然だよ。それで、改めて説明するけれど、俺は魔法使いなんだ。」
「魔法使い…。」
ルーエはそう彼に言われた事をオウム返しにした。
すると、セイリーンは困った顔をして、「引いた?気持ち悪い?」と聞いてきた。
彼女は言おうかどうしようか迷ったが、自分の素直な気持ちを伝える事にした。
「正直に言うとあの化け物の断末魔は今でも耳に残っているし、あいつが剣で串刺しになった姿は目に焼き付いているわ。あれって、魔法を使ったのよね?」
「そうだよ。」
セイリーンは何かを覚悟したかのように神妙な顔で頷いた。
「そういう事が出来る魔法を怖くないって言うと嘘になる。でも、不思議とセイリーンの事は怖いって思わないのよね。あなたの姿に変身した化け物に襲われたのに…。どうしてだろう。」
ルーエはそう言ってから、考えを纏まる為に少しの間黙った。
彼はそれを邪魔しないように見守っている。
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