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「セイリーンってなんとなく頼りない所があって、ちょっと弟みたいに思っていたからかも。後、悪い人じゃないって分かっているし。」
「お、弟…。」
彼がショックを受けているようなので、ルーエは少し慌ててしまった。
「あ、ごめん。こんな事を言って。それに、私を化け物から守ってくれた命の恩人なわけだし!なんだか混乱していて、ちゃんとお礼を言えてなかったわ。
助けてくれて、ありがとう。」
「いや、あれはお礼を言われるような事じゃないんだ。」
そうセイリーンが何処か暗い表情で言ったので、彼女はきょとんとしてしまった。
「お礼を言われるような事じゃない?」
「う、うん。あれは森の近くで時々出現する人を襲う質の悪い妖精なんだけれど…。普通の魔法使いはああいうのが住んでいる場所の敷地内に入って来れないように、しっかり結界を張っておくんだ。でも、俺は出来損ないでそういうのが苦手だから、結界に穴が開いていたみたいで入り込まれちゃったみたいで…。本当にごめんね。」
ルーエは彼の言葉を頭の中でゆっくり咀嚼してから首を傾げた。
「え、でも、セイリーンが態と化け物を侵入させて、私を襲わせたわけじゃないのよね?」
「も、勿論、そうだよ!そんな酷い事は出来ない!」
セイリーンは慌ててそう言った。
「だったら、助けてくれてありがとうで合っていると思う。セイリーンが私を守ってくれたのは変わりがないから。あなたがいなかったら怪我じゃ済まなかったかも知れないし、本当に助かったわ。」
彼女がそう言うと彼は照れたように笑った。
セレーヤのその笑顔はなんだか可愛らしく、普段からそんな風に笑えばいいのにとルーエは思った。
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