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「セイリーンは私とこれからどうなりたいの?恋人同士になりたいと思っているの?」
ルーエがそう聞くと、セイリーンは顔を真っ赤にして慌て始めた。
「こ、恋人同士…。それは恋人になれるならなりたいけれど…。」
「そう。前にも言ったけれど、私はあなたに好かれているのは悪い気はしない。でも、私達はお互いの事を全然知らないでしょう?だから、まずはお友達から始めない?それが嫌なら、」
「い、嫌じゃないよ!それでいい!少なくとも俺はもっと君の事を知りたいと思っているし。」
彼が勢い良くそう言うと、彼女はクスッと笑った。
「案外、私に幻滅するかも知れないわよ。今だって普段メイドとして働いている時とは結構違うでしょう?働いている時は頑張って品よく振舞っていたけれど、本当は結構ガサツなのよ。って、ごめんなさい。今更だけれど、雇い主であるあなたをずっと呼び捨てにしているし、タメ口で話しているわね。」
思わず、ルーエが口元を抑えると、セイリーンは首を振った。
「いや、それは別に良いよ。少し君の素顔を知れたみたいで嬉しかったし…。あ、あの。きっと幻滅なんてしないよ。メイドとして頑張って働いている君も、そうじゃない君も、多分どっちも素敵だって思うから。」
彼は一呼吸置くと、手を差し出してこう言った。
「その。これから、よろしく。」
彼女はその手を取って「ええ。よろしく。」と言いながらも、心の中で(私は一緒に過ごす内に、この人の事を好きになるかも知れない。)と何故か思ったのだった。
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