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酒場にて②
ルーエは色々と大変だったからと次の日にお休みをもらった。
彼女は大丈夫なのにと思ったが負担が大きかったのか、家に辿り着くと寝間着に着替えもせず、ベッドの上で雪崩れ込むように眠ってしまった。
夜が明けて暫くしてルーエは目を覚ますと、
「うーん。急に一日お休みをもらっても、どうやって過ごすか迷っちゃうわ。
大人しく部屋の中で本でも読んでましょうかしら。」
と朝ご飯を食べながら呟いた。
彼女の借りている部屋の中には、いつか読みたいと思いつつ、忙しくて読めないでいた本が溜まっていたのだ。
結局、ルーエは夕方になるまでゴロゴロとベッドの上で寝転がりながら本を読んで過ごしていたが、(折角の休みなのに何処にも出かけないのも勿体ないわ。)と思って酒場に行く事にした。
「おや、ルーエちゃん。お仕事が早く終ったのかい?」
「いいえ。今日はお休みをもらったのよ。葡萄酒を一杯頂戴。」
酒場でそう店主の旦那に話しかけられて、彼女はそう返事をした。
すると、彼ははいはいと言って、カウンター席に座っているルーエの為に注文の品を出した。
「そろそろ月降る花が咲く頃になったね。ルーエちゃんも見るのが楽しみじゃないのかい?」
「え。何、それ?」
彼女はそんな花の事なんて全く知らなかったので、店主に思わず聞き返してしまった。
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