徒桜

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 そんなある日、あたしが消しゴムを探していると、すぐに気が付いて「これ、使って良いよ」と貸してくれた。  唯一の共通点を知ったのは、彼がペンケースから取り出した新しい消しゴムを見た瞬間だった。  あたしの大好きなゆるキャラのイラストが描かれている真新しい消しゴム。見た途端に、目が離せなくなった。  彼が笑いながら「もしかして……このキャラ好き?」って気が付く。無言で頷くだけのあたしを見て、初めて笑顔を向けてくれた。  胸の中が弾けるように、ポンっと跳ねて熱くなった。  これがきっかけで、少しずつ、本当に些細なことだけど、彼とは会話が出来るようになった。  彼はあたしのことを、どう思っているんだろうって、毎日毎日、気になって仕方がなくなる。
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