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席が隣同士で回ってくるのは日直当番。
授業の終わった黒板を、彼は綺麗にしていた。その横で、あたしは先生に提出するノートの山をきちんと揃える。
出し忘れている人がいるかもしれない。ノートの山がいつもよりも低い気がする。みんなが提出しないでそのまま教室を出て行ってしまったら、後から未提出の人に声をかけて提出してもらわなくちゃいけない。
そんな面倒なことは出来ることならしたくないし、あたしにはみんなに声をかける勇気がない。
「眉間に、皺」
「え」
びっくりして横を向くと、黒板消しを持ったままの彼が、あたしを見て一言。
「足りないの?」
ノートへ視線が落ちて、あたしは頷いた。
「数学のノート提出してから帰ってねー! 担任に居残りさせられるよー」
教室に向かって、彼が声を発する。
ざわついていたクラスメイトたちが一瞬静寂に包まれた。
そして、すぐにあたしの前にはどんどんノートが積み重なっていく。
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