14人が本棚に入れています
本棚に追加
「全部揃ったでしょ?」
最後に自分のノートを差し出してくれた彼が、自信ありげな表情で悪戯に笑った。
あたしは、何度も頷くしかない。
「半分持つよ」
半分と言いながらも、あたしよりも多めにノートを手に取ると、彼は廊下へと向かう。あたしは慌てて追いかけた。
彼の背中を見つめてから、俯いてしまう。
また、ありがとうって言いそびれた。
職員室から出ると、彼は困ったように眉を下げてあたしを見た。
「これからはさ、ちゃんと言いたいこと言った方がいいよ」
引っ込み思案なあたしには、痛いくらいに刺さる言葉。言われなくても、そう出来るならしたい。なんて、心の中で思ってみたって、あたしはただ困ったように笑うことしか出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!