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さて、僅かに生き残ったペンギンであるがアイスランド沖のゲイルフルガスカー(ウミガラス岩礁)へと営巣していた。ゲイルフルガスカーはアイスランド本土から四十キロ程離れており、火山岩礁であった故に船での侵入が不可の楽園だった。
しかし、1830年に火山が噴火。ペンギン達は非情にも楽園から追放されてしまう。
生き残ったペンギンはアイスランド南西沖に位置するエルディ島へと移住するのであった。
エルディ島は広さ3ヘクタール、高さ77メートルの崖に囲まれており海鳥の侵入しか許さない小島だったのだが、先述の火山によって地盤沈下と崖崩れが起こり、島の片側からの侵入が可能となった。それにより、ペンギンは移住したのである。
1835年、エルディ島が人間に発見されてしまう。その時、ペンギンは50羽しか残っていなかった。コレクターや博物館はそれにも関わらず醜い物欲には勝てずにペンギンを求めた。
学術研究の為にペンギンを求めたと言えば聞こえは良いが、所詮は観賞や展示が目的に過ぎない。貴重なものを自分の手元に置いておきたい、それを他人に見せて自慢したい、などと言った所有欲や顕示欲を満たすものだと考えれば途端に聞こえは悪くなる。そして、その欲を満たすためにペンギンが絶滅しても構わないと考えるのは極めて身勝手であると言えるだろう。
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