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私立高校だからなのか、公立高校より早く冬休みが訪れる
心城学園は土曜日の午前中も授業があるので、土曜日が休校である公立学校より、夏冬春のまとまった休みは長いのだろう
12月15日 終業式
明日から休みなのに、直前のテストの点数が酷かった僕は帰りに先生の所に呼び出された。
「あ~あ、嫌だな」
職員室に向かって歩いていると後ろから誰かが走って来る
「おう、勝利。もしかしてお前も補習か?」
加藤である
補習?
そういう事か
「何だか24,25日と二日間補習をやるみたいだぞ」
「えっ?それは困るよ。25日は予定があるんだ」
「さては莉乃ちゃんか?」
「うん。補習って何時から何時までやるんだ?」
「それを伝える為に呼ばれているんだろ、俺達」
確かに
この大事なイベントの日に補習をやるなんて、嫌味な先生だ
二人で職員室のドアを開ける。
僕達と同じ様に何人かの生徒が先生からプリントを渡されている。
僕達も先生に声を掛ける
「あの~」
「おう、小野と加藤か。甲子園出場おめでとうな。でも勉強も同じくらい頑張らないとな」
プリントを渡される
「これに参加して、補習の最後に行われるテストで基準点(赤点)を越える様に頑張ってくれ」
「もし、基準点を取れないとどうなるんですか?」
先生がニヤリとする
「想像に任せるよ」
僕達は職員室を出る。
それにしても嫌な言い方である。
次から次へと生徒が職員室に入り、先生からプリントを貰い、僕達と同じ質問をして同じ回答を貰っている
多分、僕達と同じ様に先生の嫌な言い方に腹を立てている事だろう
嫌な気分を引きずりながら加藤とグラウンドに向かう。
「あの回答は無いよな」
「さすがの勝利も、そう思うよな」
「絶対にアイツは結婚できねえ男だろ。この12月24,25日を補習日にするなんて、本当に嫌な性格だ」
「それは勉強しなかった自分のせいでしょ」
後ろから奈緒が僕と加藤に冷たい口調で言ってきた。
奈緒の横に居た耕太も
「俺は全て5段階評価の5だったぞ」
「俺と勝利はあえて補習を狙ったんだよな?なっ勝利?」
加藤がおちゃらけて言う
僕はそんな会話が耳に入ってこない。ただただプリントを見つめる
耕太が話し掛けてくる
「どうした?勝利」
「だって時間が13:00~16:00で25日は更に16:00から試験らしい」
もう、泣きそうになる
「莉乃と25日13時に莉乃と心城学園の校門で待ち合わせしているんだよ」
さすがの耕太も声が出ない
「でもな。こればっかりはしょうがない」
奈緒もただ頷くだけである
「さあ練習に行くぞ」
耕太は誤魔化した
自分のせいなんだけど
だけど・・・・
練習中もプリントの文字が脳裏を過る
その度に溜息が漏れてしまう。
日程を変える事なんて出来ない。
莉乃の会う日を変えるしか無いのか?
僕のワガママだけど、1年間で一番イルミネーションが綺麗なクリスマスに会いたい。
帰りの電車でも溜息ばかりついてしまう
さすがに奈緒も耕太も励ましてくれるのだけど・・・
二人と別れて家に着くとすぐに自分の部屋に入る。
これはメールで無くて自分の言葉で伝えよう
莉乃はきっと悲しむだろうな
昨日約束したばかりなのに・・・
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