夢を叶えろ6(高校冬〜高校3年春

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24日の練習は15時までなので、補習と同じ時間に終わる。 ちょっと耕太と奈緒を待ってから帰ろうかな 補習が16:10に終わる 予定より10分遅れたが、僕はグラウンドに急いだ しかし部員達の声やバットの金属音も聞こえない あれ? グラウンドに着くと、既にグラウンドには人影が見当たらない 耕太にメールすると (今日は12:30~15:30で終わったぞ。俺も後輩達とスポーツ用品店に寄って帰る) 奈緒にもメールを送ろうと思ったが、確かマネージャーのクリスマス会に参加すると言っていたのでメールは送らず、一人で電車のホームに向かった。 駅の改札口を抜けると電車が発車する直前でドアが閉まってしまった。 「マジか」 ゆっくりと電車が動き出す 何気なく電車の中を見ると奈緒と港の姿が見える。 あれ?流さんは? 間違いなく2人だった。 どういう事だ? 僕は急いで耕太に電話するが、耕太は電話に気付かないみたいだ 次の電車がホームに入って来たので、電話を掛けるのを止めて電車に乗り込んだ まったく耕太も出ない とにかく亀戸に着いたら耕太に電話しよう 電車に揺られながら、さっきホームから見た奈緒と港の様子を思い出す。 何だ、この嫌な感じは 亀戸に着いた 電話しようと思った瞬間 着信があり、すぐに電話に出た 「勝利?」 莉乃の声だ 「あっもしもし」 「今、どこ?」 「今、亀戸に着いたよ」 「良かった、改札口に勝利のお父さんが迎えに行っているよ」 「えっ本当に?」 こんな事は初めてである 改札口を抜けると本当に父が待っていた 「おーい、迎えに来たぞ」 こんな所で大きな声を出したら恥ずかしいだろ 独り言の様に呟く そのまま父の車に乗ってマンションに向かう 車だと5分も経たない マンションの駐車場に着いて車を停める 「もう、社長夫妻がエントランス前に着いているから走るぞ」 「えっ?莉乃の両親も来るの?」 予想外な出来事に驚きながらマンションまで走った。 本当に莉乃の両親が待っている 近くまで辿り着くと 「勝利君、甲子園出場おめでとう」 「ありがとうございます」 「今日は祝勝会だな」 「あなた、今日はクリスマスパーティーですよ」 「そうか、そうだったね」 そんな会話をしながら4人でエレベーターに乗り家に着いた。 玄関のドアを開けると生クリームの匂いが部屋中に充満して鼻に突き刺さる リビングも綺麗に片付けられていて大きなテーブルが置いてあり、周りを椅子が6脚置いてある テーブルの中央には大きなケーキが置いてあり、中央にメリークリスマスの文字をチョコレートが書かれていて、その周りは生クリームが見えないぐらいにイチゴが飾られている。 「お~美味そう」 思わず声に出してしまった。 「美味しそうでしょ?」 母がニヤニヤしながら言ってくる 「莉乃ちゃんがケーキを一人で作ったのよ」 「えっ莉乃が一人で?」 「そう、私はチキンを作ったのよ」 見るからにチキンは売られたままの総菜でしか見えない そこを指摘すると面倒くさいので、黙っておこう 父も莉乃の両親も分かっているのか、母が作ったとされる「チキン」の事を黙って見過ごした。 制服姿だったので私服に着替えるため自分の部屋に入る。 着替え終えるとカバンに入れた携帯を出そうとする 「勝利」 部屋の外から莉乃の声がする 僕は携帯をカバンに戻して 「どうしたの?」 「ごめんね。今日はまさか両親まで泊まるとは思わなかった。ゆっくり過ごせると思ったのに」 えっ莉乃の両親も泊まるの? まさかの展開だ 甘い一時を過ごせると思ったのに・・・・ 僕は着替え終えてリビングに向かう 既に親達はワインを飲み始めていた。 「お~勝利、乾杯するぞ。ほら莉乃ちゃんの横に座れ」 僕達はジュースを、親たちはワインをグラスに注ぐ 「メリークリスマス!」 母が大声で言うと皆が続く 「メリークリスマス」 僕は莉乃とグラスを合わせた
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