夢を叶えろ6(高校冬〜高校3年春

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AM6:00  車から出て勝利の家に向かう 確かに外は寒かったが、今の私は寒ささえも受け付けない程に気持ちが高ぶっている 玄関前に着いてチャイムのボタンに手を当てる 「よしっ」 チャイムを力強く押した。 午前中は勝利の部屋で二人きりになって勝利に勉強を教える。 二人だけなんていつぶりだろう? 勝利の鉛筆を見る手を見る。 こんなに力強い手をしていただろうか?」 腕も、こんなに太きかっただろうか? こんなにも男らしかっただろうか? ついつい勝利の隅々まで観察してしまう 「莉乃・・・莉乃?」 「あっごめん。ちょっとぼうっとしちゃった」 「もしかして眠いの?朝早くからごめんね」 この勘違いも勝利らしい クスッ 「どうしたの?何でわらったの?」 「何でも無いわよ。さあ勉強しましょう」 でも、この時間が私は好き 午前の勉強は終わり、勝利のお父さんの車で心城学園に勝利を送る 「さあ莉乃ちゃん。買い物に行こう」 勝利のお母さんがいつも行くデパートに向かった 「圭子さん。ケーキは私が作ってもいいですか?」 「もちろん、そのつもりよ。私はチキンやオードブルを作るね。じゃあ地下の食品売り場に行きましょう」 食品売り場に着くと圭子さんが目の色を変えて店舗をはしごする。 「ごめんね。妻はデパ地下が大好きなんだよ」 何となく分かる 私はケーキに必要な材料を探した ここのデパートの地下は、大きな食品売り場と総菜や弁当等を取り扱う店舗のエリアに分かれている。 私は食品売り場で食材を求めて探して、購入しようとしていた材料は全て食品売り場で揃った。 オードブルを作る圭子さんの姿は食品売り場で見かけない ケーキの材料を購入した私が袋詰めする台に買い物カゴを置くと、圭子さんが近づいてくる。 「袋詰め、手伝ってあげるね」 その後ろに沢山の袋を持った勝利のお父さんが立っていた 全てが総菜だと言う 予想はしていたけど・・・ でも、あの量を食べきれるかしら? 「莉乃ちゃん、買い物終わったの?」 「はい」 「莉乃ちゃんのお父さんとお母さんも呼んだわよ」 「えっ?」 今日は勝利に告白しようと考えていたのに・・・ 二人になれる時間があればいいのだが 緊張が不安に変わっていく 買い物が終わり勝利の家に帰って来た。 そこからケーキ作りが始まる。 ケーキ作りと言ってもスポンジ部分は別に購入しているので。生クリーム作りと言った方が正しいのかも知れない。 溶かしたチョコレートを文字として使用してケーキが出来上がる 勝利の帰宅時間に合わせて、勝利のお父さんが駅まで迎えに行き、エントランスで私の両親と待ち合わせしたらしい。 全ての決定権は圭子さんであり、私の両親への連絡は勝利のお父さんが圭子さんの指示で行った。 ある程度、料理が終わり勝利に電話する。 ちょうど亀戸に着いたらしく、お父さんが改札口で待っている事を伝える。 そして30分後、勝利と勝利のお父さん、私の両親が一緒に帰って来た、 クリスマス会が始まる 勝利が部屋に着替えている最中に大人達は乾杯して飲み始める。 少し経って勝利がリビングに現れると、デパートで購入した音だけ出るクラッカーを手に持ち、圭子さんの号令で会が始まった 「メリークリスマス!」 一斉にクラッカーを発射 パン、パン、パン 大人はワインを子供はジュースを飲んだのであった。 甲子園出場の祝、両親の復縁の祝と流れていき、クリスマスの話題は開始5分で無くなった。 大人達の呂律が回らなくなるのも開始して1時間も経たないで出来上がる かなりのハイペースでお酒が進んでいく 「ねえ、勝利。お酒とおつまみ買ってきて」 酔っぱらった圭子さんが勝利に買い物を要求 勝利は素直に言いつけを守り頷いた 二人になれるチャンスが訪れた 「私も行くわ」 前もって買っていたネックレス 露店で売っていた安物のネックレスだが、幸せを呼ぶ羽がペンダントヘッドに飾られている。 昨年プレゼントしたブレスレッドと合いそうな商品だったので、迷わず決めたネックレスだ。 勝利が玄関で私が来るのを待っていてくれた。 靴を履いて玄関を出る。
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