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永遠の「今日」へ。4
やっと話すきっかけを得て、「それ、もう似合わないね」と言うと、懐かしさが自然体になるスイッチを押してくれた。
同じのが吸いたいとねだられて、中学生の頃に一本だけあげたことがあったのだ。
つまり、私の吸うそれと同じ銘柄のものを手にしていた。
それから、ライターを貸してくれだなんて言う。
一言くらいは私と話したくてチャンスを待っていたのだとわかると、少しの照れくささと純粋な嬉しさから面映ゆくなる。
面白い。
社会人らしく、父親らしく、あなたらしさが見つからない、私とはかけ離れた会話の選び方だけが、不器用でそのままだった。
私は昔から子供が好きな方だったけれど、彼はそうでもなかったようで、我が子にかなり手を焼いているようで、何をしてやったら楽しんでくれるのかがわからない、と困った顔をして紫煙を夜に吐き出した。
年子の兄弟は、来年の春から幼稚園に通うから、少しは人の意見も受け入れてくれるように成長して欲しい、と幸せそうに嘆かれた。
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