永遠の「今日」へ。5

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永遠の「今日」へ。5

 かなり遅れてしまったけれど、結婚と、息子さんたちの誕生や健やかさに、素直におめでとうと伝える。  すると、このままでは、いずれ家族で住んでいる社宅を子供たちが壊してしまう、はやく一戸建てを建てるんだ、と目に夢を映す。  広々とした布団で大の字になって眠りたいと愚痴って、好きでもない煙草に、とうとうむせた。  涙目でケホケホと、曇ったため息を何度もついて。    大切で大切で仕方がないものたちで出来ている、彼の日々を纏った姿が、こんな金ばかりかかる白い毒の棒なんか、もう、くわえることなどないだろう。  彼女とお揃いの、近所のスーパーで買えるようなスウェットにジーンズを履いて。  町に数件しかない美容院でカットしている黒髪は、精一杯今日の同窓会の為にといじくられているのに。  シャンプーとリンスの匂いしかしやしない。
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