永遠の「今日」へ。8

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永遠の「今日」へ。8

 少し変わり者だと周囲には思われていたようだったけれど、沢井恭介くんは勉強が出来て、機転が利いて親切で、学級委員長で正義感の強い真っ直ぐな性格をした男子だった。  いつだってどんな教科の成績だって必ずと言って良いほど学年で一番で、多少奇異な行動があったからと言って、担任の先生も彼を悪く思うことなどはまずなかった。  例えば、誰かの誰かへの陰口やからかい、そんな全てを許せずに、自分がやられているわけでもないのに激昂してしまうようなところがあった。  けれどそれも、「恭介くんだもんね」の一言で片付けられるくらい、皆が彼のバカ真面目さを認めていた。  正しくあろうと一生懸命なのに、やり方を導き出す柔軟さがまだ欠けていた。  小学生なのだから、これからわかるようになるだろう、と大人たちも恭介くんを見守っていた。  あ。  「どんな教科の成績だって必ず」は言い過ぎだったので訂正をしておこう。  そう言えば、図工と体育だけはからっきしにダメだったのを思い出した。
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