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真っ白で何もない世界。
フィールドが生成される前の状態だ。
周りを見渡したが、不具合を起こしている部分はない。
「悟、来てくれたんだね」
声がしたほうを向くと、離れた所にアオイが立っていた。
「アオイ、なんで通信に反応しなかったんだ。見たところゲームに不具合はなさそうだし、なにが起きた?」
「ああ、それは…君に用があったからさ」
アオイが指を鳴らすと、俺の周りに透明の壁が現れ、囲まれた。
「アオイ!なにするんだ!」
壁を消すために管理メニューを開こうとしたが、開かない。
メンテナンスモードだと、アオイから俺に管理権限が移るはずなのに。
「悟、君にその壁は消せないよ。それはボクの物だからね」
アオイはこっちへ少し近づき、立ち止まる。
「あのエラーもアオイが出したのか?」
「うん。こうでもしないと悟は来てくれないからね」
つまり俺はAIに騙されたのか。
そう思うと無性に腹が立つ。
「恐い顔をしないでくれよ悟。でも、こんなことされたら怒るのは無理ないか」
アオイは申し訳なさそうに言っているが、俺を囲んでいる壁を消そうとはしない。
自力で消そうと色々試しているが、やはり無理みたいだ。
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