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頭を上げると、義父母の顔があっという間にほころぶのが見えた。
「おお、よく来てくれたね。はじめまして、じいじとばあばと呼んでおくれ。真帆ちゃんと理帆ちゃんだね、よろしく」
「はい!」
また二人一緒だ。いつもは順番なのに珍しいな。この子たちなりに、緊張しているのかもしれない。
「蒼が小さかった頃にそっくり。よく女の子に間違えられてたのよ」
そう言うお義母様はとても美しい女性で、私は思わず言ってしまった。
「蒼さん、お義母様によく似ていますね。真帆と理帆も、お義母様にそっくりです」
本当にこの四人はよく似ている。いったい私の血はどこへ? と思うが、私が生んだのだからそこは間違いない。
「まあ――。お嫁さんにそんなふうに言ってもらえるなんて――」
お義母さんの目に涙が浮かぶ。
「母さん、そこ、泣くところ?」
「おばあちゃん、いたい?」
「かなちい?」
「まあ。優しい子たち。痛くも悲しくもない、嬉しいの。とても嬉しいときにも涙は出るのよ。朋花さん。まさか一人で子どもを育てているとはつゆも知らず――。私たちが反対したせいで苦労をさせ、申し訳ありませんでした。これからは今までの分も、頼ってください。真帆ちゃんと理帆ちゃんのお世話、喜んでお手伝いさせてもらいます」
「あんなに反対したくせに」
蒼さんがちくりと言った。
「だって――望月の嫁は色々大変だから。普通のお嬢さんでは無理だと思ったの。でも、朋花さんなら大丈夫だと思う。双子を一人で産み育てようだなんて、根性あるもの。私が教えられることは、ゆっくり教えていきます」
「ありがとうございます」
「それにしても、真帆ちゃんと理帆ちゃんの成長、楽しみね。女の子を育てるのって、男の子とはまた違った楽しさがあるでしょう。私、夢だったの。札幌のおばあちゃんと温子さんにお目にかかるのも、楽しみよ。これからよろしくね」
「はーい!」
「おばーちゃん、よろちく!」
元気な双子の返事に場は和やかな笑いに包まれ、蒼さんは私を見てほほ笑んだ。
私の大切な人。たくさん回り道をしたけれど、こうして一緒にいられる日がきてよかった。この幸せを大切に、歩んでいこう。
(了)
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