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プロの手によるメイクとヘア、七センチヒールは、自分じゃないみたいだ。
蒼さんはいつもより少し、私はうんと、ドレスアップしている。
なぜなら急遽パーティーに行くことになったからで、今朝会った時にはカジュアルなブラウスにデニムだった私を、蒼さんが変身させたのだ。
「……恥ずかし……です……」
「え?」
蒼さんは唇を離して私の視線の先を振り返ると、ふっと笑った。
「恥ずかしがらなくていい。すごく、きれいだから。もう少しここで、自分がどんなふうにされているか見ているといい」
「そんな――」
かあっと、耳が熱くなる。
いつもと違う。
こんな意地悪を言われるのは、初めてだ。
蒼さんが私を抱く腕に、力が入った。
ゆっくりと首筋にキスを続け、時折、強く吸うようにされる。そのたびにぞくりとし、背がのけぞる。
「……っ」
唇は少しずつ下りていき、鎖骨をなぞり、やがて、ドレスと肌との境目に到達した。
「邪魔だな」
囁き声とともに、背中のファスナーが下げられた。
ドレスがはだけ、ブラを付けた胸があらわになる。
「いや……」
恥ずかしさと怖さで思わず抗ってしまう。
だが私の抵抗にはお構いなしに、蒼さんは胸元に口づけた。そうしながら右手をドレスの裾に滑り込ませ、私の腿をさすり始める。その手はだんだんと内側へと上がってきて、それ以上先は――そう思ったとき。
また唇を塞がれた。
さっきとは全然違う、むさぼるようなキス。こんなの初めてだ。いつもは優しい蒼さんが、激しい。そのとき。
「っ!」
身体が跳ねた。
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