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7.銀座の老舗デパートへ
「え、今、何て――」
「俺と結婚して欲しい」
「え……」
驚きで声が出ない。
まだキスしかしていないのに。いいのだろうか。
「あの――相性とかそういうの、確かめた方が――」
蒼さんは笑った。
「朋花がそんなこと言う? したことないだろ?」
なんとなく(バレているかな)と思ってはいたが、面と向かって言われると、顔が熱くなる。
「だから中途半端な気持ちじゃ抱かないって決めてた。一生大切にする。俺の気持ち、伝わった? ――朋花? 大丈夫?」
蒼さんは心配そうに私をのぞき込んだ。なぜなら、私は泣いてしまったから。
「……こんなすごいプロポーズされるなんて、考えたこともなくて……」
「普通だろ」
蒼さんがまた笑う。
「返事は?」
「はい――ありがとうございます」
男の人とお付き合いするのは怖くて、きっと結婚もしないだろうと思っていたはずなのに。気付けば私は答えてしまっていた。それほど、蒼さんのことが好きということか。そしてもっと伝えたいことはある気がするのに、言葉にできなかった。
「よかった」
ぎゅっと、抱きしめられる。
「一緒にニューヨークに来てくれたら、嬉しい」
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