22.会見とその後

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 それからは、和やかな夕食の時間だった。  みんなでちらし寿司を食べ、大人三人は日本酒で乾杯。  私が一日かけて別れの手紙を書いたのは、一体何だったんだろう……。 「朋花の考えは、わかってるよ。俺の予想では、瑤子に身を引くよう言われたんだろう」  蒼さんは私たちの部屋で、眠ってしまった双子に布団を掛けてやりながら言った。温子さんはお風呂だ。 「……すみません」 「いや、謝るのは俺の方だ。瑤子のこと、気付かずにいてすまなかった。それにしても朋花、頑固というか、意思が強いよな」 「……ごめんなさい」 「謝らなくていい。だけどこれからは、その意志の強さを俺を支えることにも使って欲しい」 「え?」 「結婚してくれ」 「でも――」 「心配しなくていい。両親にも認めさせたから」 「ほんとに?」 「ああ。社長を継ぐとき、条件を出したんだ。もし敵対的買収をされることになったとして、その時に俺が伊吹グループの助けを借りずに切り抜けられたら、朋花との結婚を認めて欲しい、と」  息が止まるかと思った。 「朋花?」 「ごめんなさい、あの、びっくりして――」 「呪いは俺が解くって言っただろ」  蒼さんが笑う。  そして私は――涙があふれるように流れた。  蒼さんが私を抱きしめ、頭をぽんぽんとしてくれた。久しぶりだ、この胸の暖かさ。でも。 「蒼さ――だめ、スーツ……濡れ――」  声にならない。  また蒼さんが笑う。 「いいよ、別に。クリーニングに出すから気にするな。朋花の涙で思う存分濡らして――って、なんか変な台詞だな。好きだ――朋花。愛してる」  蒼さんは何度もキスをし、その合間にまた囁いた。 「俺と結婚して欲しい」 「――はい」  私が答えると蒼さんはキスを止め、私をぎゅっと抱きしめた。そうして言った。 「もう一生、離さない」
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