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後から聞いたところによると、母は「結婚するのはおめでたいが、一度は朋花を妊娠させていなくなった相手。いったいどういう神経をしているのだ」と、かなり身構えていたらしい。
だが蒼さんが事情を説明すると、自分の過去と重なったようで、「よく諦めずに結婚まで漕ぎつけてくれた。しかも後継ぎという立場を捨てずに」と、感極まった様子で涙した。
帰りの飛行機で、蒼さんは私にそっと耳打ちした。
「朋花、今夜は覚悟しておいて」
「覚悟?」
「手加減なしで、しっかり抱くから」
胸がドクンとなった。
私たちがしたのは、一度きりなのだ。
それなのにその記憶はしっかりと刻み付けられていて、蒼さんの言葉は私の身体の奥にじんわりとした熱を灯した。
羽田に着いた後、タクシーで自宅近くの区役所に寄り、時間外窓口に婚姻届けを提出した。あっさりしたものだったが、「これで、書類上もちゃんとパパとママ。四人家族だ」と蒼さんが言うと、私たちに抱っこされていた双子はにっこりと笑った。
双子が寝静まった後、蒼さんはその言葉通りに、妻となった私を抱いた。
硬い蕾をほぐすような丁寧な愛撫は初めての時と同じだ。
そして、丁寧だけど激しいキス。
「う……」
思わず声を漏らすと、私が潤ったことが伝わったのだろう。蒼さんは胸の頂を弄んでいた指を離し、そこに触れた。
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