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これから
翌日、日曜日。いよいよ蒼さんのご両親との対面。
場所は丘の上のお屋敷――と書くとドラマみたいだが、本当にそうなのだ。港区の高台に建つ塀に囲まれた一軒家は、ここが都心だと忘れてしまうような広い敷地に建つ大きな洋館で、塀に沿って樹々が生い茂っている。
「すっごく緊張します……」
「朋花は堂々としていればいい。俺が朋花に夢中になってここまできた、っていうだけのことなんだから」
「いえ、私だって夢中です」
「まーちゃんも、むちゅう!」
「りーちゃんも!」
双子が足元で、ぴょんぴょん飛び跳ねた。
「三人して何をむきになってるんだ? 嬉しいけど」
蒼さんは笑い、呼び鈴を鳴らした。
こうなったきっかけは蒼さんだけど、私だって蒼さんのことが愛おしくてたまらない。何か不本意なことを言われたら、ちゃんと反論しよう――と、会う前は私がかなり身構えていたのだが、真帆と理帆のおかげで、対面は極めて和やかなものとなった。
「父さん、母さん。紹介するよ、妻の朋花と娘の真帆と理帆」
「はじめまして。朋花です。よろしくお願いします」
玄関で出迎えてくれた義父母に私が深々と頭を下げると、隣にいた双子は元気いっぱいに声を揃えた。
「おじいちゃま、おばあちゃま、はじめまちて!」
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