絶望

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**** 哉彌と嬢ちゃんが眠ってすぐに屋敷の外に飛び出した。 ざわざわと人だかりが出来る中、皆が見ている先に視線を流す。 「どうなってるんだ」 誰かが呟き、疾風も言葉に詰まる。 おびただしい数の目玉が天までそびえ立っている。否、壁に見えるまでに結界に沿って数えきれない数のあやかしが張り付いていた。 「...これは、かなりやべえな」 苦笑いをしつつ、指示を出す。 いつ結界を破ってなだれ込むかわからない。 術士の配置に武器の運搬指示を出している最中に、それは鳴いた。 「!嘘だろ、おい」 化け猫の声が響いた。 切り裂く声は食いちぎった結界からなだれこもうとするあやかしに突き刺さる。 一度綻んでしまえば、次々に他にも穴が開き 屋敷になだれ込む。能力を持った者、武器を手に戦う者の合間を縫って疾風は疾風のごとく駆け抜けた。 己の体を風に変え、鎌鼬のようにあやかしを切りつける疾風にはたいした相手ではない。 それでも、数が多すぎる。 ただでさえ嬢ちゃんの能力であやかし一体の力が底上げされているというのに。 視界に捕らえる全てを一掃することは出来ない。悲鳴が聞こえ、パニックに陥った仲間の銃弾が辺りに散る。 それでも、立ち止まれる余裕は無い。 目の前にいた若い術士の腕が飛ぶ。 それを避け、頭にかぶりつこうとしていたあやかしを切り裂いて足を止める。 「夢なら覚めてくれねえかな..」 思わず呟いたのは視線の先、竹林の先に大きな猫の姿を見たからだ。 その視線の両端に同じく強大な影を見る。 これは、かなり骨が折れる。 自分以外生き残れるか、いや俺でもこいつらを止めるのは無理かもしれない。 一瞬の迷いが生死を分けることも分かっていたがこの時ばかりは脳が停止した。 「くそっ!?」 影が動いたのに反応して、体が動く。 大きく仰け反って攻撃をかわしたつもりだった。 不気味な断末魔と共に血飛沫が飛んだのは先程まで立っていた位置の真横。 一瞬立ち止まった隙を狙って攻撃を仕掛けていたであろうあやかしだった。 「...マジで、夢なら覚めてくれ」 呆然と呟く先であやかしが、次々と倒れていくのを疾風は目の当たりにした。
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