三妖

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疾風と栄呉が戦っている様子を誰も止めること無く見つめる。 ある意味、これは必要な決闘だからだ。 互いに力を認めなければ共闘などなし得ない。 哉彌自身、他の手を借りるなどしたくは無いだろうが、紅月の者達を守るためには必要と考えているだろうから。 「哉彌様」 「なんだ」 互いに顔を合わせること無く互いの意思を問う。 「問題は、ありませんか?」 「無い」 「そうですか。では、約束どおり私もここであなた様のお帰りをお待ちしています。 お土産宜しくお願いしますね」 隣に立つ彼の服を掴もうと手を伸ばした。 それを何事も無いように哉彌は絡めとる。 簡単な言葉で通じる程度には絆が結べたのかもしれない。相手を縛る何かではなく、互いの指と指で繋ぎ止める、不確かなようだがそれはとても暖かいもので心地のよいものだ。
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