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疾風と栄呉が戦っている様子を誰も止めること無く見つめる。
ある意味、これは必要な決闘だからだ。
互いに力を認めなければ共闘などなし得ない。
哉彌自身、他の手を借りるなどしたくは無いだろうが、紅月の者達を守るためには必要と考えているだろうから。
「哉彌様」
「なんだ」
互いに顔を合わせること無く互いの意思を問う。
「問題は、ありませんか?」
「無い」
「そうですか。では、約束どおり私もここであなた様のお帰りをお待ちしています。
お土産宜しくお願いしますね」
隣に立つ彼の服を掴もうと手を伸ばした。
それを何事も無いように哉彌は絡めとる。
簡単な言葉で通じる程度には絆が結べたのかもしれない。相手を縛る何かではなく、互いの指と指で繋ぎ止める、不確かなようだがそれはとても暖かいもので心地のよいものだ。
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