夢の始まり

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夢の始まり

同じ夢ばかりを繰り返し見る。 始まりはパチパチと何かが弾ける音。 それから鼻をつく刺激臭、むせかえる喉の痛みに息苦しさ。 どこからか風が吹いてその熱気でヒリヒリと肌が焼ける。それが痛みなのか熱さという感覚なのかぼんやりと考えているうちに瞼を覆っていた布がひらりと捲れた。 眩しい。 真っ赤な赤と舞い上がる黄赤の粒が天井の影をゆらゆらと踊らせる。 これが私の最後なのかと落胆するでも怒号するでもなくただ許容していた。 こんなものかと。 揺れる影法師に火の粉が舞う天井をただ呆然と見続けると誰かが顔を覗き込んだ。 「待たせたな」 そう声をかけた煤に汚れた顔は不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた。 もったいない。 綺麗な顔をしているのに。 そう思った。
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