晴れた日、散歩する二人。

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晴れた日、散歩する二人。

天気の良い午後だった。 学校の帰り道、いつもは通らない道を歩いてみたくなって、家の二本ほど手前の路地に入った。 小学校の同級生だった土屋君の家、その向かいの家は一階が車庫になっていてヤクルトのバイクが置いてある。どれもこの住宅地に馴染むような庶民的な造り。 一軒だけ、あきらかに違う建物があった。 坂の途中にある喫茶店みたいな洋風の家。 敷地のほとんどが庭で、低く作られたブロック塀がツタでおおわれている。 僕の背丈よりも大きな木が庭のところどころに立っていて、柔らかな色の花をつけた植物が一面に広がっている。 『お邪魔して申し訳ありません』というように車が庭の片隅に一台停められている。 こんなに広い土地なら庭を壊して整備をすれば、近くにあるアパート向けに大きな駐車場が作れるだろう。でもそうしないのもわかる気がした。それくらい光があふれて別世界のような庭だった。 住居は庭に比べると小さく、しかも平屋建てだった。 昭和の名曲を紹介するテレビ番組で見たフォーク歌手が住んでいるようで、リアルタイムではその時代を知らない僕でさえも懐かしさを覚える。
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