晴れた日、散歩する二人。

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奥の軒先に洗濯物が揺れているが、それすらもあまり生活感を感じさせない。 すぐご近所にこんな家があるなんて知らなかった。 ぼんやり考えていたので、庭に人がいるのに気が付かなかった。 シュシュシュっと小さな音がして柔らかな水しぶきが上がった。庭の植物に誰かがホースで水まきを始めたらしい。 メガネをかけた男の人だった。黒いコートに白いタートルのニットを着ている。 襟足が短く、後頭部が丸くてふわふわしているから小学生みたいな印象を受けたが、実際の年齢は20代か30代くらいだろうか?横顔しか見えないからちょっと図りかねる。 我が家も僕が小さい頃は猫の額ほどの庭があり紫陽花や名前も知らない灌木があって、よくおばあちゃんと一緒に水をあげていたものだ。今はコンクリートだけど。 そんなことを考えつつ、しばらくその人が水まきをしているのを庭の外から見ていた。よく考えたら不審者だ。 「こんにちは、何か御用でしょうか?」 その男の人が急にこちらを向いて大きな声で挨拶してきた。 すいません、見てただけです。 そう返事すると、彼はちょっと恥ずかしそうな顔をした。
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