2人が本棚に入れています
本棚に追加
大学生の頃、私は四年弱一人暮らしをしていた。
一人暮らしを始める前、父は私に月に何万円仕送りをする、という約束をした。私にはアルバイトでの収入はあったものの、父は仕送りをすると言い、それならば、と私もお言葉に甘えて受け取ることにした。はじめの二か月はその通り口座に入金があった。
問題がおきたのはそのあとだった。
ある月、十万円が振り込まれた。
そして、八か月、入金がなかった。
仕送りを催促したところ、十万円が振り込まれた。
今度は、十か月、入金がなかった。
以上である。
いやいやいや、ちょっと待て。私を仙人か何かだと思っているのか。人間一人が月一万円で生きられるわけがないだろう。というのが、当時の私の感想だった。
仕送りがあるだけ恵まれている、と感じる方もいらっしゃるはずだ。それは私も否定しない。大学生にもなって、一部でも生活費がもらえた私は、確かに恵まれていた。
けれど、私は、月にいくら仕送りをする、と父から伝えられていた。それなのに、連絡の一つもないまま、この有様。文句の一つも言いたくなるのは、お許しいただきたい。
最初のコメントを投稿しよう!