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「あのさ、まず言わせてもらうけど」
「……うん」
「お前っていっつも勝手に考え込むよな」
「…」
「それで勝手に変なこと考えてうじうじ悩みだして。うん、小学生ん時から隼人そういうとこあるわ」
「…」
「いいか!まず俺は責任とか難しいこと考えてない!」
「………えっ」
「入院したのは単なる事故だし。そりゃあの時は正直絶望したけど、ちゃんと復帰してサッカーやれるようになったわけだし」
「………」
「それから俺の代わりをしようとか馬鹿じゃねーの!俺は俺なんだしお前はお前なんだから!」
「………」
「別に俺がいない間隼人に変わりをやってほしいなんて思ってなかったし、できるとも思わない。チームがまとまんなかったのはチーム全体の責任だろ!」
「………」
「まぁ俺の代わりじゃなくて一人のキャプテンとしては、隼人にも責任があったわけだが。それは反省しとけ」
「……ごめん」
「そういう訳で俺は別に中学の時の事をそんな暗く考えてねーし、お前のことも悪く思ってねーよ。そりゃケガしないで順調に続けられてたらって考えたことはあるけどさ、ケガしてからの自分も悪くないと思ってんのよ」
「………そっか」
頭の黒い何かが軽くなっていく。
「だから、まぁなんていうか……いろいろ考えすぎなんだよお前は!」
「うん…うん…そうだな……」
黒い何かの、その先から光が漏れる。
「はー……それで連絡も全然なかったわけ?まったく…」
「うん…ごめん…ごめん…」
光の先には満開の桜が広がっている。
花びらは宙を軽く待っている、まるで重さなんて無いかのように。
それから尊といろんな話をした。
高校で何をしてたか…今は何をしてるのか…あの頃何を思っていたのか…。
これまで話せなかった事、話したかった事が沢山ある。
時間はあっという間に過ぎていった。
「そういえば聞きたかったことがあるんだけど」
「んー何?」
「昔お前桜が嫌いって言ってたじゃん?あれってなんでなの」
「えーと………あぁー……」
そうだ、簡単な事だったんだ。
「小学校の時さ、よくPK対決したじゃん?」
「うん」
「ゴールのすぐ近くに桜の木があったからさ、キーパーの時花びらがうっとうしくてさ。それで中学になってもやたら桜を嫌ってた気がする」
「……え?」
勝手に考えないで話し合えばそれで良かったんだ。
「……はっはは!なにその馬鹿な理由!」
「おいこら。ていうか変な事覚えてるなぁ」
「まぁちょっとね……………なぁ、今度春になったらその桜見に行こうよ」
「えー…俺別にお花見とか興味ないけど…」
「いいからいいから」
花が散り、重く降り積もっても、いつかは新しい花へと生まれ変わる。
「お前が今どうかはしらないけどさ」
それはまた今度会ったときに聞けばいいや。
「僕は桜が好きなんだよ」
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