エピローグ

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 宮代家のリフォームが終わるまでの2か月、来栖家に唯も同居していた。私、あおにぃ、唯の三人の同居の始まりは、微妙な緊張感が走ることも度々あって、私はハラハラしていた。でも、どうも、あおにぃと唯はそこそこ波長が合うというか、本人同士は認めないけど、多分、同じ穴のムジナというか。3人で暮らすのも悪くないな、なんて思ってしまいそうだった。  リフォームが終わって、私と唯が本格的に引っ越した後、いきなり一人になったあおにぃは、珍しくロンリネスを感じてしまったらしく、いつの間にか武藤さんと同居を始めていた。 「この前、蒼紫が言ってたんだけどさ」 「何をですか?」 「宮代君って、全ての決断が芦原基準だよね。」 「どういう意味ですか?」 「芦原さんが関わらない世界には全く興味がないってこと、宮代君の場合」 「えっと?」 「だから、芦原さんがウチで働いてくれてる間は、宮代君はこの会社のためにすっごく頑張ってくれるんじゃないかって、期待してるみたい。だからね、多分、芦原さん、この会社、辞められないよ。」 「いやいや、先のことは分からないし。」 「芦原さんいなくなったら、宮代君もさっさといなくなるかもしれないし。なんかね、宮代君が転職する噂を聞いた彼の元取引先、すっごいいい条件のオファーをしてきたらしいから。ずっと彼の採用を狙ってたみたい。それを聞きかじった蒼紫、先手必勝とか言いながら、高笑いしてたわ。こっちには特別なカードがあるからねって。」 「そうなんですか?」  よかったのかな、そんないい条件の就職先、蹴っちゃって。 「まぁ、宮代君はウチの次期CFOだからね」 「|Chief Financial Officer《最高財務責任者》?」 「役員だねぇ。優秀だもん、彼、それは認める。だけど、さっきのスマートでフレンドリーな優良物件というのはどうかなぁ。結構、彼、闇あるよね」 「ですかねぇ。」 「蒼紫と似てる。」 「そう思います?」 「芦原さんもそう思うでしょ?」 「ちょっとだけ。」 「あと芦原さんへの愛情の深さの半端なさも。」 「ですか?」 「ですよ。たまにジェラシー感じてます。」  あらあら。武藤さん、結構、あおにぃに惚れてたりします?一度は付き合ったことのある二人らしいから。  そんなことを言っていればオフィスに着く。 「さぁ、これから次期CFOの宮代君とさしでミーティング。」 「ご武運を」  そんなことを言ったら、武藤さんに軽く小突かれた。私、結構、武藤さんのこと、好きですよ。
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