3. 母の疑惑

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 すると梢ちゃんが私に気づき視線を動かしたので、それに釣られて島田さん達が振り返る。と、何事もなかったように、島田さん達四人は梢ちゃんを置いてゲームセンターの方へ行ってしまった。  ほっとしたような顔の梢ちゃんと目が合うと、梢ちゃんは私の方に歩いてきた。 「美里ちゃん、こんにちは」 「こんにちは」 「どこに行くの?」 「本屋」 「私も行っていい?」 「え、いいけど。いいの?」と、私はゲームセンターの方に顔を向ける。 「うん。いいの」  梢ちゃんは力強く肯いた。  二人で本屋に入り、中高生向けの小説の棚に行く。実は梢ちゃんもジュニア向けの小説のファンで、お互い読んでいる本が似ていることがわかった。  お互いが読んでいないおすすめ小説を教え合ったり、一番好きなシリーズもののキャラの話をしていたら、あっという間に三十分が経っていた。 「梢ちゃん、お昼食べに行くよ!」  しかし、楽しかった時間は島田さんの声で終わりになった。 「ごめんね。行くね」  梢ちゃんが困ったような、申し訳なさそうな顔で言った。 「うん。また学校でね」 「うん。バイバイ」  梢ちゃんは既に歩き出した四人のあとを追いかけて、フードコートの方へ去って行った。  楽しかった分、最後がなんだか寂しかった。
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