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施設の経営者は今後も介護事業を拡大する予定で、新しい介護施設を設立する予定だという。そして父の仕事ぶりを評価してくれていて、ゆくゆくは父に管理者の仕事を任せたいと言ってくれているらしい。
「大変な仕事だけれど、一生懸命頑張ってみるよ」
父は笑顔で言った。
「私はね……」
今度は母が語り始める。
「介護の仕事って大変そうだから、早く辞めて正社員の仕事をして欲しいって思っていたの。それでパート帰りに高校時代の親友とその旦那さんに会って、経営している会社で雇ってもらえないか相談に乗ってもらってたの。お父さんがそんな風に考えていたなんて、お母さんちっとも知らなかったから」
お互い、相談せずに話を進めていたことで、喧嘩になったのだという。
「今日はお父さんが働く施設を見学してきたの」
その後、経営者にも会い、系列の別の施設で母もパートで働くことになったそうだ。
「ゆくゆくはお父さんを助けられたらいいなってね」
そう言って二人は顔を見合わせて微笑み合った。
「で、なんで美里はそんな勘違いをしたんだい?」
父が聞く。
「ひそひそ鬼ってなに?」
弟も聞くが、私は安心して泣き笑いして説明できなかった。
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