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新しい中学では東京からの転校生ということで珍しがられ親切にはしてもらえたが、クラスメイトとの間になんだか溝があるように思えてならなかった。
隣の席の梢ちゃんはとても親切にしてくれた。笑顔が素敵な可愛らしい子で、この子と仲良くなれたらきっと学校生活も楽しくなるだろうなと密かに思っていた。
梢ちゃんは島田さんって子達のグループだったけれど、下校時一人の時がたまにあり、帰り道が一緒になるとおしゃべりしながら帰った。
明日から学年末考査という日も一緒になった。
「梢ちゃん、勉強してる?」
テスト前によく交わされるたわいもない会話だった。
「全然! 美里ちゃんは?」
「良かったーー! 私も全然やってないよ。英語なんて、赤点取らなきゃいいかなって」
梢ちゃんの言葉に安心して答えた。
「わかる。私もよ」
梢ちゃんはにっこり笑った。
その夜、弟とお笑い番組を見たあと、ちらっと教科書を斜め読みしただけで私は布団に入った。
明日は英語と国語の試験だったが、東京で通っていた塾で先取りしていたし、進度も前の中学の方が早かったからと高を括っていた。
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