2. 転校

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「ほんとに、可哀想にね。騙されても気づかないなんてね」 「あの子は信じやすいからね」  その夜、ひそひそ声で目を覚ました。 「まさか、『全然やってない』を信じるとはね」 「皆、今頃必死で勉強しているのにね。あの子はまんまと騙されて寝ちゃったよ」 「ほんとに愚かな子だねえ」  えっ? これって、私の話? 声の正体よりも、梢ちゃんが私を騙してる疑惑が気になった。まさか、優しい笑顔の梢ちゃんが私に嘘つくなんて……。私は布団の中に潜り込み、耳を塞いで眠った。  中間考査は今までの貯金のおかげで赤点にはならず、平均点よりちょっと上の成績が取れた。  英語の答案が返された時、梢ちゃんの答案を覗き込んだら、91点だった。やっぱり、勉強してる。嘘つきじゃん。 「凄い! 梢ちゃん、勉強したんだね」  内心の憤慨を隠して、私は明るく梢ちゃんに言った。 「違うよーー。たまたま、ヤマが当たったのよ。それより、美里ちゃんも赤点ぎりぎりなんて、全然違う、凄いね!」  梢ちゃんは私の答案を見て言う。 「私もたまたまだよ」  私は63点の答案が恥ずかしくなって、今さらだけど隠した。
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