桜と彼が大好きでした。

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第十一章 迷 窓から光が漏れる。光に照らされた手を見て、朝を実感する。 寝れなかった。ずっと考え事ばかり。 やるかやらないか、どっちを選ぶかで、私の人生は大きく変わる。 命に関わることだ。 でも、後悔のない方を選びたい。 どっちを選択したら後悔するのかわからない。 「わからないよ…。」 枕に顔を埋める。 今日は学校休もっかな。 スマホを探して、学校に電話しようとした時、 『ピンポーン』 とインターホンがなった。 カメラを確認すると、カリンだった。 「どうしたの?」 カリンが私の家に朝から来るなんて初めてだ。 『昨日、様子がおかしかったから、迎えにきた!  一緒に学校行こ!』 カリンは、何の裏もなさそうな笑顔でそう言った。 「…ごめん。今日体調悪いから休むね。」 そう言うと、カリンは寂しそうな顔で俯いて、 『そっかあ…わかった。家にあるゼリーとかドアノブにかけとくね。  ちゃんと寝ててね。絶対だよ!』 と言った。 小さな画面にうつったカリンは、トボトボと名残惜しそうに帰っていった。 カリンにあんな顔させるなんて、友達失格だなと思う。 私は、何がしたいんだろう。 カリンをあんな顔にさせて。 何のために生きてるんだろう。 私がいて、何の得になるんだろう。 私の視界にロープがうつる。 「私は… 『ピンポーン』 「!」 インターホンがなって、ハッとした。 「私…今…何しようとしてた…?」 どうせカリンだろうな…と思ってドアを開けると、そこにはツキがいた。 「…!?」 驚いて、思わずポケットに入れていた銃を取り出した。 ツキは、銃をチラッと見てから、 「とりあえず中に入らせてもらっていい?ここじゃ目立つやん?色々。」 と言って、手に持っていたビニール袋をあげた。 「これはカリンに頼まれた物や。プリンとかゼリーとか。  カリンは今学校でな。サキのことよろしく、言うてたで。  だから届けに来ただけや。…他に聞きたいことは…?」 ツキは優しく笑った。 「いえ…急にすみません…。中へどうぞ。」 私は、ドアを大きく開けてツキをリビングに入れた。
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